ミューレ工房

ミューレのシルバーチップのブラシはアナグマの毛を使用し、昔ながらの製法で手作りしています。今日では、この技術を持つ職人はわずかとなりました。工房では、伝統的な道具を用いて、熟練の技によってこの逸品が作り出されるます。職人が1日に制作できる「シルバーチップのアナグマの毛の手作りブラシ」は、最大で100個です。その制作過程はまさに技の極みです。20,000本以上の毛をしっかりとまとめて扇状の束にすると、銀色に輝く毛束が黒い帯状の筋によって映えます。アナグマの背中から取った最高品質の毛をグラム単位の正確な重量でひとまとめにし、コームでとかし、形を整えて紐でくくり、締めつけリングを接着材でとめます。接着剤が乾いたら、さまざま素材でつくられたハンドルと組み合わせます。

ブラシ職人たちは振動を抑えた御影石の机に向かって作業しています。使用している道具は、毛をとかすときに使う年季の入った木製の柄がついた金属のコーム、鋼鉄のペンチ、鋭利なナイフなど、いずれも数世紀前から受け継がれてきたものです。クロムやニッケルの電流メッキを施した真鍮、ハイテク素材のカーボン、木材、ステンレスや磁器など、ハンドルの素材には最先端の加工を施しています。工房の反対側には最新の工業機械が備わった生産設備があります。

最終的な組み立てと品質管理は工房で行います。部品が正確に組み合わさっているか、ねじや接着剤できちんと留まっているかなどを調べます。本物の角や天然素材から作られるハンドルは、その造りの不均質な部分が「自然」とみなせるか「規格外」に該当するかを入念に確認し、表面に傷がないものだけが完璧な製品に加工されるのです。

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